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特集

“文化とお米”自分にあった暮らし方

Act:3268(ADOOM)

ABOUT

今回お話を伺ったのは新潟県南魚沼市六日町でセレクトショップ「ADOOM」を運営し、DJ・デザイナーとして活動しつつ米作りも行っている3268(さんにいろくはち)氏。現在の南魚沼にはストリートカルチャーがルーツにあるSHOPが数多くあるが、その先駆けとして2004年にオープンしたのが「ADOOM」だ。ローカルに根差したカルチャーが生まれ続けるこの地の、パイオニアとも呼べる存在である3268氏に、お店を立ち上げた経緯やデザインのこと。米作りのこと。この街のことを聞いてきた。


双眼鏡で山の安全を確認する3268氏。

90年代の渋谷から受けた影響も大きい

―早速ですが、デザインを始めたきっかけからお聞きしたいです。

3268:はじめは、遊びでステンシルをやっていたから、それを何かにプリントできないかな?と思ったのがきっかけかな。デザインをしようってよりかは、遊びの延長にデザインがあったって感じかな。友達とやっていた音楽イベントのTシャツを作ったり。それを繰り返す中で、お店を立ち上げたい気持ちもあったし、もうちょっとちゃんとプリントできないかなー、と。そこでデザインって何だろう?と思ったのがきっかけです。

―デザインを意識し始めてからお店を出すに至った経緯を教えてください。

3268:もともと、お店はずっと持ちたいと思ってたんだよね。あとはどのタイミングでやるかだけって感じで。そのきっかけになったのが、さっき話したTシャツとかのプリントをもっとクオリティ高くしないなーって思ったことかな。その後2004年にADOOMを立ち上げたました。


3268氏が手がけるTシャツレーベル「SIXSENCE」

―お店をやる前は何をやられていたんですか?

3268:東京のファッションの専門学校を卒業して、東京にあるアパレル量販店で働いてたんだけど、こういうんじゃないんだよなーって思って半年くらいで辞めたんだよね。ちょうどそのタイミングで、「プログレス」(南魚沼市にあるセレクトショップ)で働かないか? って誘われて南魚沼に戻ってきたのよ。
で、プログレスが長岡店を出すのがきっかけであっちまで通うことになってさ。ちょうどその頃、長岡にクラブができて、そこでDJ OLDFASHION、DJ KAZZMATAZZとかと仲良くなって一緒にイベントやったりしてたんだよね。その流れで3年くらい長岡に住んでた。


店内にはDJブースも。ADOOMオリジナルのスリップマットがクール。

―ADOOMを開こうと思った時に今のようなスタイルを目指していたんですか?

3268:最初は何も考えてなくて、ただ漠然とやりたいなあ、と思ってたくらいなんだけど、長岡に住んでいた頃の仲間にアメリカへ買い付けに行ってる奴がいて、そいつにくっついてNYに行った時に『こういう感じ良いかも』。と思ったのが今のスタイルの入り口かな。20代も後半だったし、そろそろ何かやらないとなーと思ってて、それがちょうど28歳の時だね。

―デザインで影響を受けたアーティストはいますか?

3268:やっぱり、レコードのジャケットとかかなー。ジャンルとしてはやっぱりHIP-HOP。アーティストというよりかはジャンル全体から受けた影響が大きいのかも。ちょうど、専門学校に行ってた頃が1990年代後半で、レコード全盛期でターンテーブル買った事でレコード収集にはまっていくという(笑)。その時の同級生がDJやってたのと、元々興味を持っていた事もあって、レコード文化にのめり込んでいったんだよね。当時の東京生活ではDJの文化に影響を受けまくって、学校で得たものはほぼ皆無(笑) そんな、90年代の渋谷から受けた影響も大きいのかな。

―90年代っていうとめっちゃいい頃ですね。

3268:ちょうどシスコがあった頃だよね。シスコで人間発電所知ったくらいだよ(笑) 日本語ラップ全盛期だったし。「YOU THE ROCK☆」とか、「TWIGY」、「MURO」、「SHAKKAZOMBIE」、もうすごい時代だよね。さんピンCAMPは行けなかったんだけど、当時のVHS(時代感!)はテープが擦り切れるほど見た。地元の仲間と一緒にB-BOY PARKとかもよく行ってたね。今では良い思い出だけど、レコード掘りに行って、めっちゃ外してたなー。あの頃は今と比べて情報が多くなくて、レコ屋で掘るか、通販カタログのコメント読んで買うとか(笑)

雪はこの土地にはなくてはならない物

―本当のジャケ買いですね(笑)少し話しは飛びますが、本業の傍らお米も作っていると聞きました。

3268:うん。基本は自分の家で食べる分と、自主流通用に作ってる感じかな。俵数で70俵とか。お米を買ってくれてるのは親父の代から付き合いがある人が多いと思う。この先どうなるかわからないけど、作るのはさ、自給自足できた方がいいよなーって思って親父の手伝いから。ちょいちょいやりつつ、作業はまだ半分くらいしか覚えてないけど。米作りのメインとなる田植え、稲刈り、草刈り、調整とかはできるけど、水の量や肥料の分量とかはまだまだかな。そのあたりの技術を少しずつ習って、いずれは自分が引き継いで切ればなーと思ってるよ。もともと親父も仕事しながらやってたし、俺も今の仕事をしながら米作りを続けていくと思うよ。この辺の人は結構そういう人多いよね。会社勤めしながらお米作ったり。

―なるほど。仕事終わりにスケートパークとかもよく行ってますよね。

3268:4年前かな? できたんだよね。スノーボードは元々やってたんだけど、スケートはオーリーで挫折したクチ(苦笑)だけど、コンクリートパークでクルージングして衝撃受けちゃった。あの踏むだけで進む感じ? めっちゃ面白いんだよね。革命だったなー。この辺の若い子とか同世代でもハマる人続出。ほんと、良い遊び場が出来たよね。

 

 

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南魚沼スケートパーク(通称sixpark)

―スケートパーク含めて、南魚沼の良いところを教えてください。

3268:ヨコノリの環境が整ってることかな。雪さえ降ればスキー場も沢山あるし、スケボーもできるしさ。最近ではパークができたことで、若い子との接点も増えてて、色々な年代と繋がれるのが面白い。イベントやお店にも遊び来てくれたりし、そういう意味でもヨコノリはこの街に根付いているし、良いところだよね。あとはただ単純に景色が良いことかな。家の近くに溜池があって、そこから見る八海山がめっちゃ綺麗なんだよね。トミオカホワイト美術館の近くの。そういう場所がすぐそばにあるのも好き。

―今後やりたいことなどはありますか?

3268:作品展はやってみたいと思ってるよ。時期は決めていないけど、やるとしたらまずは地元からかな。コロナウイルスの影響が落ち着いて、タイミングがあれば東京とかでもやってみたいと思ってる。ここ2年くらい、とくに自分で描くのが面白くなってきたし。
ADOOMで個展をやってくれた、「レイジロウ君」っていう「NEW TOKYO POST」っていうイケてる新聞を作ってる友達がいるんだけど、もともと絵で食っていってる人でさ。その人の影響もあって、自分で描くのが面白くなってきたのもあるかな。あと、DJはずっとやってくだろうなー。やっぱりイベントに呼んでもらって違う街に行ったりすることで色々刺激も受けるし、お店の宣伝にもなるしね。家族もいるから、DJやってなかったら他所の土地に行くこともなかなかできないしね。だからこそDJはずっと続けていくと思うよ。


2018年8月にADOOMで開催されたレイジロウ 氏(@ragelow)のアートエキシビジョンの様子。 トンネルをモチーフにしたゲートが印象的だ。

―今後、南魚沼市がこうなったら良い、と思うことはありますか?

3268:ま~、もう少しヨコノリやストリートカルチャーに寛容な街になったらなーと思う。「スケートはパークが出来たからパークだけでやれ」とか。実際に言う人も結構いたりする訳で。まあ、文化と世代のギャップもあるけど、もう少し理解してもらえると嬉しいかな。
あとは、雪がずっと振り続けて欲しい。去年はほんと少なかったよね。ここ5、6年くらいはパウダーランにハマっちゃってるんだけど、サイドカントリーにすら入れなかったし。やっぱりスノーボードは楽しいし、雪はこの街にはなくてはならない物だよね。

―最後に3268さんにとってデザインとはなんですか?

3268:仕事でもあるし、夢中になれるもの? なんだろうね、あんまり上手く言えないけど。良いデザインができた時の達成感というか、作ってるときに感じる「お、これ良いんじゃん?」みたいな感覚? それが好きで続けてるのかな。だから、きっと遊びの延長なんだと思うよ。

INFORMATION

ADOOM

新潟県は南魚沼市、六日町にあるセレクトショップ。日々の興味や遊びの中から生まれるアイデアをプリントで落とし込んだオリジナルウェアを中心に雑貨・音楽・キッズ等も取り揃えている 。加えて人生の営みの中で次々と巡り会う 豊かな才人達が手がける希少な制作物の販売等。ウェブでなんでも手に入ってしまう世の中だからこそ、こだわりのある手づくりの少量生産品や現場でしか伝わらない”刺激のある事”の発信を目指しながら営業中

SHOP12:00~19:00(短縮営業中) 木曜定休日
新潟県南魚沼市六日町91-6 1F
MAIL:adoompom@gmail.com
TEL:025-770-0487
BLOG:http://adoomsixcity.blogspot.jp/
INSTAGRAM:https://www.instagram.com/adoompom

3268

95年にDJを始めて以来、様々なパーティーでプレイ。 HIPHOP,BREAKBEATS,REGGAE,CHILLOUT,をベースにジャンルを横断しながら新しい価値観を模索中。40過ぎから始めたスケートにハマりつつ、山と雲を傍に日々マイペースに過ごしている。